Object Chandigarh
ニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動する家具ディーラー、ジョージ・ギルピン(George Gilpin)の作品集。スイス人建築家、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)とピエール・ジャンヌレ(Pierre Jeanneret)が北インドの都市チャンディーガルのためにデザインした家具を記録したものであり、その歴史を追います。チャンディーガルは、モダニズム建築の理念を都市の規模で構築した場所として国際的に知られており、ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレはその重要なプロジェクトに深く関わっています。手書きシリアルナンバー入り。
本書の刊行を記念し、アートとデザインを専門とするニューヨーク・トライベッカ地区のギャラリー「パトリック・パリシュ(Patrick Parrish)」にて、2023年10月から11月まで展覧会が開催されました。本展は、同ギャラリーがトライベッカからブルックリンのネイビーヤードに移転する前の最後の展示となりました。
監修、著者はジョージ・ギルピン、編集は「パトリック・パリシュ」のオーナーでありキュレーター、コレクターであるパトリック・パリシュ(Patrick Parrish)が担当。アート・アドバイザーであるサイモン・アンドリュース(Simon Andrews)は本書のためにエッセイ『Repaired Modernism』を寄稿しています。写真は、ブルックリンを拠点とする写真家のバララーマ・ヘラー(Balarama Heller)が3年がかりで撮影と熟考を繰り返しながら制作、同じくブルックリンを拠点とする「Flat Fix」が装丁を手掛けています。
「10年以上前にチャンディーガルを訪れた際に、私はインドとパンジャーブ州の文化を体現した、思慮深くも独創的な素材の用い方をする伝統に出逢った。西洋世界とは異なり、物は別の目的のために再利用されるような状態になるまで恒久的に使われている。使用、再考案、必要性から生まれた創意工夫から成るこれらの物に、一つの物語が満ちている。
(1947年のインド・パキスタン分離独立後、)チャンディーガルは、独立インド初代首相のジャワハルラール・ネルー(Jawaharlal Nehru)により、インドのユートピア的都市として1953年に作られた。彼は、都市計画と建築を指揮したル・コルビュジエのエネルギーとヴィジョンを活用した。並行して、ル・コルビュジエのいとこであるピエール・ジャンヌレは、コルビュジェと二人でこの都市のためにたくさんの家具のデザインに注力した。ジャンヌレの家具は、地元の職人たちが各々持つ小さな工房でそれぞれ異なる解釈をもって制作したため、多くのバリエーションが生まれ、それぞれの作品は手工具で制作を行う職人によって作られた。ジャンヌレは、建物や環境に合わせた個性的なデザインを生んだ。その歴史は未だ残る作例に刻まれた痕跡によって辿ることができる。
私は木工作品に夢中になり、ディテールを敬い、構造の違いを調べた。太陽や様々な要因によって摩耗した結果生じた仕上がりは、家具と共に生きた人々の痕跡を纏っている。どのようなデザインがより高尚なものであるか考えを巡らせたが、概してそれは主観的なものだとはっきりわかった。それぞれの家具はそれぞれの経験を持ち、独特の痕、変化、色を育んでいる。
チャンディーガルの建築と家具デザインは、世界で最も重要な建築都市の一つの要素として尊ばれている。『Object Chandigarh』は、このモダニズム都市のためにデザインされた家具のコレクションである。この経年変化で生まれた状態は、物語を伝え、生き生きとした人生をあらわしている。」
-ジョージ・ギルピン
ページ: 248
サイズ: 299 × 305 mm
フォーマット: ソフトカバー
刊行年: 2024
出版: Patrick Parrish
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